釉薬(「ゆうやく」または「うわぐすり」)は単に釉(くすり)ともいわれ、一般的には「うわぐすり」と称している。釉には透明釉(とうめいゆう)が最も多く、そのほかに不透明釉や結晶釉また各種の色ぐすりなどがある。
釉薬とは陶磁器素地の表面に施したガラスのように溶かした薄いケイ酸塩化合物で、ほぼ均質なものである。その物理的及び化学性質は、ガラスと同様で硬く、強酸、強アルカリ以外には不溶であるか、溶けてもわずかである。ただし、フッ酸(フッ化水素)にはおかされる。気体や液体は通さない。ガラスのように一定の組成を有する化学的な化合物ではなく、複雑な混合物である。釉薬には多少の差はあるが光沢がある。光沢の強い(よく溶けた)ものは光線を強く反射する。マット釉(つや消し釉)は反射が弱く、この中間的の光沢をもつ釉も多い。肉眼的に結晶が無いということが釉薬の特徴であるが、微結晶によるマット釉や結晶釉などは例外である。
釉薬には無色釉と着色釉(色くすり)、透明釉と半不透明釉および不透明釉がある。
外見はどちらであろうと釉薬又はこれに準じた被膜を粘土質製品に使用するのは次のうちいずれか一つまたは両方を満足させるためである。
1.製品を液体および気体に対して不透過性にすると同時に、素地の強さを増す。
2.美術的に魅力ある被膜(釉相)を形成して製品の欠点を完全にかくし、さらに装飾的効果を出す。
釉の原材料は焼く温度(熔ける温度)によってそれぞれ選び、種々の原材料の化学的性質を考慮し、配合してつくるので範囲は広い。
釉は大体ケイ酸分(Sio2)、すなわちケイ石、石英の類を所要の温度で溶かすために種々の融剤を配合してできたケイ酸塩類(岩石、鉱物や土石類の主成分として地殻の主体をなす化合物)である。